ドクターブログ

睡眠関連疾患

多くの睡眠関連疾患は,歯の喪失が始まる中高年以降に増加するが,睡眠時ブラキシズムは加齢とともに低下します。つまり,顎口腔系の力の制御の観点では,睡眠時ブラキシズム以外の睡眠関連疾患や睡眠の異常を知る重要性を,暗に意味すると考えられます。それは,背景に睡眠関連疾患を有する場合,睡眠時ブラキシズムの有無にかかわらず,過剰な咀喘筋活動を示す患者がいる可能性が高いからです。
 また,さまざまな睡眠関連疾患患者で,睡眠時ブラキシズムが併存することも報告され,背景疾患によってはスプリントの選択や使用法が必要となる可能性が指摘されています。たとえば,スタビライゼーション型スプリントが軽度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者のいびきや無呼吸を悪化させる可能性が指摘されています。また,睡眠時無呼吸症候群用の下顎を前方移動させる口腔内装置が睡眠時ブラキシズム患者のリズミカルな顎運動に効果があるという報告があります。
 一般に睡眠時ブラキシズムの危険因子とされている,ストレス,喫煙,カフェイン摂取,飲酒など睡眠調節に影響を与え,中枢神経系に作用する薬剤は,睡眠調節に加えて運動調節にも影響する.したがって,睡眠時ブラキシズムだけではない「力」を生む背景要因の多様性を鑑別するためには,睡眠関連疾患に特徴的な症状や徴候の有無,内服薬の処方状態,さまざまなリスク因子の存在を確認するなど,チェアサイドで可能な方法で睡眠の異常を診査し,必要に応じて睡眠専門医に対診することも今後は必要になってくるかもしれません。そのうえで,口腔・顎顔面の臨床徴候から顎口腔系への力の負荷を診断し,スプリントを用いてコントロールする歯科的アプローチを組み合わせることが必要と考えられます。



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